会社売却を考え始めたとき、最初にぶつかりやすいのが「誰に相談すればいいのか分からない」という悩みです。
M&A仲介、売り手側のFA、税理士、弁護士、金融機関…相談先はいくつもあります。選択肢が多いぶん、違いが分からないまま話を進めてしまうと、「思っていたサポートと違った」「必要以上に急かされた」と感じてしまうこともあります。
ただ、安心してください。会社売却の相談は、「売る」と決めてからでなくても大丈夫です。むしろ早い段階で相談しておくと、今の状況を整理できて、無理に急がずに済みます。
この記事では、会社売却の相談先の選択肢を整理したうえで、自分に合う相談先の選び方と、初回相談をスムーズにするための最低限の準備を分かりやすくまとめます。
まず確認したい「相談していいタイミング」
会社売却の相談というと、「売ると決めた人がするもの」と思われがちです。ですが実際は、“売るかどうか迷っている段階”こそ相談の価値が高いことも多いです。
ここでは、相談して大丈夫なケースと、逆に一度だけ立ち止まった方がいいケース、そして相談の目的の持ち方を整理します。
まだ売ると決めていなくても、相談して大丈夫なケース
結論から言うと、「売却を決めていない=相談してはいけない」ではありません。むしろ、次のような状態なら相談して問題ありません。
- 頭の中が散らかっていて、何から考えればいいか分からない
- 将来のために、今の会社がどれくらい評価されそうか目安を知りたい
- 後継者がいない、体力的に不安など、「いつかは…」が現実味を帯びてきた
- 取引先・競合・業界の変化があり、数年後の見通しにモヤモヤがある
- 相続や家族の事情で、経営の引き継ぎを考え始めた
この段階で相談する一番のメリットは、「いま決めなくていいこと」と「いま確認すべきこと」を切り分けられる点です。売却を急ぐ必要がないからこそ、落ち着いて選択肢を整理できます。
また、相談は必ずしも「即アクション」につながらなくて大丈夫です。相談した結果、「まだ動かない」と判断するのも、立派な前進です。
逆に、相談前に一度だけ立ち止まった方がいいケース
一方で、相談してはいけないわけではないものの、相談に行く前に“1つだけ”整えておくと安心なケースもあります。
それは、気持ちが強く焦っているときです。
- 資金繰りが厳しくて、今月・来月をどうにかしたい
- 大きなトラブルが起きて、感情が高ぶった状態で結論を急いでいる
- 周囲に言われて不安が膨らみ、「とにかく早く決めなきゃ」と追い込まれている
この状態だと、相談の場で相手の言葉に引っ張られやすく、本来は慎重に考えるべき判断を急いでしまうことがあります。
立ち止まるといっても、難しい準備は不要です。まずは次の2つだけ、紙やメモに書き出してみてください。
- 「何が一番つらいのか」(資金・人・体力・家族・将来不安など)
- 「いつまでに、何が落ち着けば安心か」(期限とゴールのイメージ)
この2つが言葉になるだけで、相談の場での会話がブレにくくなり、必要以上に焦らずに済みます。
相談の目的は「売る」より先に「状況整理」でOK
会社売却の相談は、最初から「売ります」「いくらで売ります」と決める場ではありません。初回相談の目的は、もっとシンプルで大丈夫です。
相談の目的は「売るかどうかを決める」ではなく、「状況を整理して、選べる状態になる」ことです。
たとえば、相談のゴールは次のような形で十分です。
- 今の会社の強み・弱みが、第三者目線でどう見えるかが分かった
- 売却以外の選択肢(承継・部分譲渡・継続など)も含めて、方向性が見えた
- 今すぐやること/今はやらなくていいことが切り分けられた
- 次に集めるべき情報(数字・契約・体制など)が明確になった
ここまで整理できれば、もう十分に前へ進んでいます。無理に結論を出さなくていいので、肩の力を抜いて大丈夫です。
大切なのは、相談の場で「決断」ではなく、判断材料を増やすこと。その積み重ねが、後悔しない会社売却につながります。
会社売却の相談先には、どんな選択肢がある?
会社売却の相談先は、ひとつではありません。どこに相談するのが正解、というよりも、「今の目的に合う相手を選ぶ」のが大切です。
ここでは代表的な相談先を、できるだけ分かりやすく整理します。どれが良い悪いではなく、それぞれ“得意なこと”と“注意点”があるイメージで読んでください。
M&A仲介会社(幅広く動けるが立場の理解が大事)
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に入り、全体の手続きを進めてくれる存在です。案件の紹介や交渉、スケジュール管理など、幅広く対応してくれることが多いです。
メリットとしては、買い手候補の探索を含めて、実務をまとめて進めやすい点が挙げられます。初めて会社売却を考える方にとって、「何をどう進めるのか」を相談しやすい窓口にもなります。
一方で重要なのは、仲介会社は“売り手だけの味方”とは限らないという点です。売り手側・買い手側の双方と関わる立場になることがあるため、相談時には次のような確認があると安心です。
- 自分(売り手)のために、どこまで主張してくれるのか
- 相手(買い手)側とも関与する可能性があるのか
- 費用や進め方が、分かりやすく説明されるか
“何をしてくれるか”だけでなく、どんな立場で動く相手なのかを理解した上で相談するのがポイントです。
売り手側FA(売り手目線で伴走しやすい)
FA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、基本的に売り手側の立場で、意思決定を支える役割です。条件の考え方、交渉の進め方、判断ポイントの整理など、「社長の味方」として伴走してくれるイメージに近いです。
売り手側FAに相談するメリットは、売り手目線で優先順位を整理しやすいことです。たとえば「価格だけでなく、従業員や取引先への影響も含めて考えたい」といった相談もしやすくなります。
一方で、FAといっても支援範囲はさまざまです。相談の際は、次のような点を確認しておくと安心です。
- 買い手探しまで含めて対応するのか/交渉支援が中心なのか
- どんな会社規模・業種の支援が得意か
- 費用がいつ・何に対して発生するのか
「売り手としてどう進めたいか」を大事にしたい方は、FAへの相談が合うことがあります。
税理士・会計事務所(数字の整理と論点の洗い出しに強い)
税理士・会計事務所は、会社の数字を日頃から見ている存在です。会社売却の相談先としても、数字の整理や“説明できる状態”づくりの面で頼りになります。
たとえば、次のようなことを一緒に整理しやすいです。
- 決算書の数字を、第三者に説明できる形に整える
- 利益の出方や資金繰りなど、気になる論点を洗い出す
- 「ここは聞かれそう」という点を、先に準備しておく
注意点としては、税理士さんは交渉の代理や契約実務を担う立場ではないことが多い点です(※対応範囲は事務所により異なります)。ただ、最初の段階で「何が課題で、何を整えればいいか」をクリアにするには、とても心強い相談先になります。
弁護士(契約やトラブル予防の視点で安心材料になる)
弁護士への相談は、契約・法務面の不安を減らすのに向いています。会社売却では、秘密保持の取り扱い、契約書の条文、責任範囲など、「後から揉めやすいポイント」がいくつか出てきます。
弁護士に相談するメリットは、トラブルを未然に防ぐ視点が入ることです。たとえば、次のような相談がしやすいです。
- 契約書の内容を、リスク目線でチェックしたい
- 口約束ではなく、合意内容をどう書面に落とすべきかを整理したい
- 将来の揉めごとを避けるために、注意点を先に知りたい
なお、弁護士は「売却全体の段取りをすべて進める役」というより、要所で安全性を高める存在として入ってもらうイメージが近いです。早めに相談しておくと安心材料になります。
金融機関・公的機関・マッチングの場(情報収集の入口として)
金融機関や公的機関、事業承継のマッチングの場などは、情報収集の入口として活用しやすい選択肢です。
たとえば、次のような使い方が考えられます。
- 会社売却や事業承継の全体像を、まずは相談して整理したい
- 地域の支援制度や、相談窓口の紹介など、選択肢を広げたい
- いきなり専門家に行く前に、方向性だけ掴みたい
ただし、こうした場は「実務を全部やってくれる」よりも、最初の道案内の役割が中心になることが多いです。深い個別検討に入る前段階として、上手に使うと心が軽くなります。
相談先は一つに決める必要はありません。大切なのは、今の自分に必要なのは“買い手探し”なのか、“数字の整理”なのか、“契約の安心”なのかを見ながら、相談の順番を組み立てることです。
後悔しないための、相談先の選び方
会社売却の相談先は、名前が有名かどうかだけで決めると、あとで「こんなはずじゃなかった…」となりやすいです。
後悔を減らすコツはシンプルで、“自分の状況に合う相手かどうか”を、いくつかの視点で確認することです。
ここでは、難しい判断ができなくても大丈夫なように、誰でもチェックできる選び方をまとめます。
「何が不安で相談したいのか」を先に言語化する
相談先選びで一番効くのは、実は「比較表」よりも、自分の不安を言葉にすることです。
なぜなら、相談先によって得意なことが違うので、目的が曖昧だと“良さそうな話”に流されやすいからです。
難しく考えなくて大丈夫なので、まずは次のように一言でOKです。
- とにかく何から始めればいいか分からない
- 売るかどうか迷っている
- だいたいの相場感だけ知りたい
- 従業員や取引先への影響が心配
- 買い手と交渉するのが不安
- 契約で揉めないかが怖い
この「一言」があるだけで、相談の質がぐっと上がります。相談先を“選ぶ側”に立てるようになるからです。
売り手の味方になりやすい体制か(立場の違いを確認)
会社売却のサポートは、同じ「支援」に見えても、立場が違うと優先順位も変わることがあります。
ここで大切なのは、相手が良い悪いではなく、「この人(この会社)は、どういう立場で動くのか」を理解することです。
具体的には、相談の場で次のように聞いてしまって大丈夫です。
- 御社は、売り手の支援として動く立場ですか?
- 買い手側とも関わる可能性はありますか?
- 交渉で意見が割れたとき、どんな考え方で提案しますか?
質問に対して、はっきり・分かりやすく説明してくれるかは、とても重要な見極めポイントです。
得意分野が自社と合うか(業種・規模・地域・案件のタイプ)
相談先にも「得意・不得意」があります。これは能力の差というより、扱ってきた案件のタイプの違いです。
たとえば、同じ会社売却でも、次のように前提が変わると進め方も変わりやすいです。
- 業種(製造、IT、建設、医療、飲食など)
- 規模(売上・利益・従業員数)
- 地域(地元のネットワークが強い/全国型)
- 案件のタイプ(株式の譲渡、事業の一部だけ、後継者不在の承継など)
相談のときは、「実績ありますか?」だけだと曖昧になりやすいので、“自社に近い例”を聞くのがおすすめです。
- うちと同じくらいの規模の支援はありますか?
- この業種でよく出る論点は何ですか?
この問いに対して、具体的に話せる相手は、経験をもとに現実的な提案ができる可能性が高いです。
費用の考え方がわかりやすいか(説明の丁寧さも含めて)
費用はとても大事なのに、聞きづらいですよね。でも、ここは遠慮しなくて大丈夫です。
むしろ、費用の説明が分かりにくい相手ほど、あとで不安が増えやすいです。
最低限、次の点が説明されるかを確認してみてください。
- いつ費用が発生するのか(相談時?着手時?成約時?)
- 何に対する費用なのか(資料作成、買い手探索、交渉支援など)
- 追加費用が出る条件(例:契約書対応、遠方対応、特別な調査など)
ここでのポイントは金額の大小よりも、「納得できる説明があるか」です。丁寧に説明してくれる相手は、進行中のコミュニケーションも丁寧なことが多いです。
話しやすさ・押し売りのなさ(長い付き合い前提で見る)
会社売却は、短距離走ではなく、どちらかというと状況に合わせて進め方が変わる“長めの道のり”になりやすいです。
だからこそ、最後は「この人と話していると落ち着くか」がとても大切です。
チェックしやすいサインは次の通りです。
- こちらの話を途中で遮らず、ちゃんと聞いてくれる
- 分からない言葉を使わず、かみ砕いて説明してくれる
- 今日決めなくていいと言ってくれる(急かさない)
- 不安やデメリットも、隠さず話してくれる
反対に、初回から「早く動いた方がいい」「今すぐ決めた方がいい」といった言葉が強い場合は、一度持ち帰って冷静になるのがおすすめです。
相談先選びは、完璧でなくて大丈夫です。大切なのは、あなたが安心して話せて、判断材料を増やせる相手かどうか。その視点さえ持てれば、後悔はぐっと減らせます。
初回相談がスムーズになる「最低限の持ち物」
会社売却の初回相談は、「準備が完璧じゃないと行ってはいけない」と感じてしまう方が多いです。
でも実際は、最低限の材料があれば十分です。むしろ、資料が多すぎると話が散らかってしまい、相談の時間がもったいなくなることもあります。
ここでは、初回相談をスムーズにするために、これだけはあると助かるという“最小セット”を紹介します。揃っていなくても大丈夫なので、できる範囲で準備してみてください。
直近の決算書(まずは2〜3期分が目安)
まず一番助かるのが、直近の決算書です。相談相手は、会社の状況を「感覚」ではなく「数字」からも確認したいので、決算書があると会話が一気に具体的になります。
目安としては、2〜3期分があれば十分です(まずは“直近”が一番大事です)。
もし手元にすぐ出せない場合は、次のどれかだけでも大丈夫です。
- 直近の決算書1期分
- 試算表(毎月の数字が分かるもの)
- 税務申告書の控え(一式でなくても、まずは概要が分かる範囲)
「見せるのが怖い」と感じる場合もあると思いますが、初回相談の段階では、細かい分析より“全体の雰囲気をつかむ”ことが目的です。完璧な数字説明ができなくても問題ありません。
事業の説明メモ(商品・顧客・強み・課題を数行で)
次にあると便利なのが、事業の説明メモです。これは立派な資料でなくて大丈夫で、数行でOKです。
書く内容は、たとえば次の4つだけで十分です。
- 何を売っているか(商品・サービス)
- 誰に売っているか(顧客層・取引先の特徴)
- 強みは何か(選ばれる理由・他社との違い)
- 課題は何か(不安点・改善したい点)
ここで大切なのは、きれいな文章ではなく、あなたの言葉で“今の実態”が伝わることです。
このメモがあるだけで、相談相手が質問を組み立てやすくなり、話が早く、深く進みます。
オーナーの希望(いつ頃・どこまで関わりたい・譲れない条件)
もうひとつ、初回相談でとても重要なのが、オーナー社長ご自身の希望です。
会社売却は「会社の価値」だけで決まるものではなく、社長の希望によって、現実的な進め方が大きく変わるからです。
難しく考えず、次の3つだけ、箇条書きでメモしてみてください。
- いつ頃までにどうしたいか(例:1年以内に方向性だけ決めたい、など)
- 売ったあと、どこまで関わりたいか(例:すぐ退任したい/一定期間は残りたい)
- 譲れない条件(例:従業員の雇用、社名、取引先対応、価格の最低ラインなど)
この希望が言葉になっていると、相談相手は「その希望を実現するには何が必要か」を考えられます。逆に、ここが曖昧だと、話がぼんやりしてしまい、不安が増えやすいです。
初回相談の準備は、頑張りすぎなくて大丈夫です。大事なのは、相談の時間を“状況整理の時間”にすること。この最低限セットがあるだけで、相談はかなりスムーズになります。
相談の場で聞いておくと安心な質問集
初回相談では、「何を聞けばいいか分からない」「変な質問だと思われたら嫌だな」と不安になりますよね。
でも大丈夫です。会社売却は人生でも大きな意思決定です。遠慮せずに聞いていいですし、むしろ聞かないまま進める方がリスクになりやすいです。
ここでは、相談の場でそのまま使える“安心のための質問集”をまとめます。言い方も、できるだけ柔らかくしています。
あなた(御社)はどんな立場で、誰のために動きますか?
まず最初に聞いておきたいのが、ここです。なぜなら、会社売却の支援は「同じように見えても立場が違う」ことがあるからです。
そのまま聞くなら、こんな言い方で大丈夫です。
- 「御社は、どんな立場で支援されますか?基本的には誰のために動く形になりますか?」
- 「売り手側としての支援ですか?買い手側とも関わる可能性はありますか?」
ここでのポイントは、相手を疑うことではありません。立場を最初に揃えておくだけで、後からのすれ違いが減ります。
同じような会社の支援実績はありますか?(具体例の出し方)
「実績ありますか?」だけだと、どうしても答えがふわっとしやすいです。なので、自社に近い条件を伝えて聞くのがおすすめです。
たとえば、こんな聞き方ができます。
- 「うちと同じくらいの規模(売上・従業員数)の支援はありますか?」
- 「この業種で、よく出る論点や注意点はありますか?」
- 「似たケースだと、どんな進め方になりましたか?」
ここで大事なのは、会社名などの機密を聞き出すことではなく、“どんなタイプの案件に慣れているか”を確認することです。経験が近いほど、提案が現実的になりやすいです。
進め方はどんな流れで、どこで判断が必要になりますか?
会社売却は、進み方が見えないと不安が大きくなります。そこで、初回の段階で全体の流れと、判断ポイントを聞いておくと安心です。
- 「全体の流れを、ざっくりでいいので教えてください」
- 「途中で、社長側の判断が必要になるのはどのタイミングですか?」
- 「今の状況だと、まず最初にやることは何になりそうですか?」
ここでの狙いは、細かい手順を暗記することではありません。“いつ・何を決めることになるのか”が見えるだけで、焦りが減ります。
費用はいつ・何に・いくらかかりますか?追加費用の条件は?
費用の話は聞きづらいですが、ここは本当に大事です。会社売却は金額が大きい分、費用の考え方が曖昧だと不安が残り続けます。
おすすめの聞き方は、次のセットです。
- 「費用は、いつ発生しますか?」
- 「何に対する費用ですか?」(資料作成、買い手探索、交渉支援など)
- 「具体的に、いくらくらいを想定しておけばいいですか?」
- 「追加費用が出るとしたら、どんな場合ですか?」
ここで相手が丁寧に説明してくれるかは、信頼できるかどうかの大きな判断材料になります。
情報管理はどうしていますか?(秘密保持・開示の手順)
会社売却で特に心配になりやすいのが、情報が外に漏れないかという点です。従業員や取引先に知られるタイミングは、とても繊細です。
だからこそ、最初に情報管理の考え方と手順を聞いておくと安心です。
- 「情報はどのように管理していますか?社内での共有範囲はどうなっていますか?」
- 「秘密保持(NDA)の扱いは、どの段階で行いますか?」
- 「買い手候補には、どの順番で何を開示しますか?」
- 「社名が分かる情報は、いつ出る流れですか?」
この質問で、相手が「手順として説明できるか」がポイントです。安心できる支援先ほど、情報の出し方が整理されています。
初回相談で全部を完璧に判断する必要はありません。ですが、この質問集を使えば、“聞きたいことを聞けた”状態になり、相談の満足度が上がります。
そして何より、聞きにくいことをちゃんと聞ける相手かどうかは、長く付き合う上での安心材料になります。
このサインが出たら慎重に(焦らせないための注意点)
会社売却の相談先は、相性が合えばとても心強い存在になります。
ただ一方で、初回相談の段階から「ん?」と感じるサインが出ることもあります。そういうときは、相手を悪者にする必要はありませんが、一度落ち着いて、慎重に判断するのがおすすめです。
ここでは、相談の場で出やすい“注意サイン”を整理します。どれか一つが当てはまったら即NGというより、「持ち帰って冷静に考える合図」として使ってください。
「今すぐ動かないと損」と強く急かされる
会社売却は、焦るほど判断が荒くなりやすいテーマです。だからこそ、初回から強い言葉で急かされる場合は注意が必要です。
- 「今が一番高く売れる」が口癖になっている
- 「今日決めないと枠が埋まる」のような圧がある
- 「とりあえず契約だけ」と先に進めようとする
もちろん、タイミングが重要なケースもあります。ただ、本当に大切なのは、急かすことではなく、なぜ急ぐ必要があるのかを納得できる形で説明できるかです。
急かされたときは、こう返して大丈夫です。
- 「一度持ち帰って、家族(または社内)と整理してから決めたいです」
- 「急ぐ理由を、根拠も含めてもう少し教えてください」
この一言に対して、丁寧に対応してくれる相手なら、落ち着いて付き合える可能性が高いです。
質問に対して説明が曖昧、資料や根拠が出てこない
初回相談ですべての資料が揃っている必要はありません。ですが、質問をしたときに、説明がふわっとしたままだったり、根拠が見えなかったりする場合は慎重になった方がいいです。
たとえば、こんな状態です。
- 話がきれいだけれど、具体的な中身がない
- 「大丈夫です」「問題ないです」と言うものの、理由が説明されない
- 費用や進め方など、重要な点が質問してもはぐらかされる
会社売却では、分からないことがあるのは自然です。でも、相談相手は「分からないこと」を分かりやすく整理する役割でもあります。
曖昧さが続く場合は、「後で文章でいただけますか?」とお願いしてみてください。そこで対応が変わるかどうかも、見極めの材料になります。
メリットだけが強調され、リスクやデメリットが語られない
相談の場で、いい話だけが続くと、逆に不安になりますよね。
会社売却はメリットもありますが、同時に注意点やリスクも必ずあります。それを一切触れずに進む場合は、慎重になった方が安心です。
- 「高く売れる」話ばかりで、現実的な条件の話がない
- 想定されるトラブルや、揉めやすい点に触れない
- 「大丈夫」の繰り返しで、前提条件が確認されない
誠実な相談先ほど、最初から「こういう点は注意が必要です」と話してくれます。リスクも含めて説明できる相手は、長期的に信頼しやすいです。
不安を感じたら、こう聞いてみるのがおすすめです。
- 「逆に、今回のケースでリスクになりそうな点は何ですか?」
- 「うまくいかないパターンは、どんなときですか?」
この質問にちゃんと答えてくれるかで、安心感が変わります。
費用体系がわかりにくい、後から増えそうな気配がある
費用の話が曖昧なままだと、進むほど不安が大きくなります。特に注意したいのは、「最初は安く見えるけど、後から増えそう」なケースです。
- 費用の説明が口頭だけで、形に残らない
- 「ケースによります」が多く、条件が見えない
- どこまでが基本料金で、どこからが追加かがはっきりしない
費用の大小より大切なのは、納得できる説明があるかです。遠慮せず、次を確認しておくと安心です。
- 「どのタイミングで、いくら発生しますか?」
- 「追加費用が出るのは、どんな場合ですか?」
- 「想定されるパターン別に、目安を教えてください」
ここで丁寧に答えてくれない場合は、すぐに決めずに持ち帰るのが安全です。
会社売却の相談先選びで一番大切なのは、あなたが落ち着いて判断できる状態でいることです。注意サインが出たときは、焦らず一度止まって、「この相手と一緒に進めても安心できそうか」を見直してみてください。
相談後にやること(次の一手が見える状態へ)
初回相談が終わったあと、ホッとする反面、こんな気持ちになることがあります。
- 話は聞けたけど、結局なにから手を付ければいい?
- 情報が増えて、逆に迷いが増えた
- 急いだ方がいいのか、まだ動かなくていいのか、判断が難しい
大丈夫です。相談後にやることは、難しい作業ではありません。ポイントは、“次の一手が見える状態”に整えることです。
今日決めること/持ち帰ることを分ける
相談の直後は、頭の中が情報でいっぱいになりやすいです。だからまずは、今日決めることと持ち帰ることを分けましょう。
目安として、初回相談で「今日決めること」は多くなくて大丈夫です。たとえば、次のような軽い決断だけで十分です。
- 次回も同じ相手に相談するかどうか(保留でもOK)
- 追加資料を出すかどうか(出すなら何を出すか)
- 次の相談日時を入れるかどうか
逆に、持ち帰っていいものはたくさんあります。
- 売るかどうかの最終判断
- 価格や条件の優先順位(時間をかけて整理してOK)
- 誰にどこまで話すか(家族・社内・役員など)
「今日は決めなくていい」と線を引くことで、焦りが減り、自分のペースで判断しやすくなります。
追加で確認すべき論点をメモ化する(不安の棚卸し)
相談後に一番おすすめなのが、不安や疑問を“メモ化”することです。頭の中に置いたままだと、モヤモヤが大きくなってしまうからです。
メモはきれいに書かなくてOKで、箇条書きで十分です。書くときのコツは、「不安」を2種類に分けることです。
- 事実として確認が必要なもの(例:費用、流れ、情報開示の順番)
- 気持ちとして引っかかっているもの(例:押し売りに感じた、違和感がある)
そして、その横に“次に聞く一言”も添えると強いです。たとえばこんな感じです。
- 費用の追加条件が曖昧 → 「追加費用が出る条件を、具体例で教えてください」
- 進め方の判断ポイントが不明 → 「どこで社長の判断が必要になりますか?」
- 情報開示が不安 → 「社名が分かる情報は、いつ・誰に出しますか?」
このメモがあるだけで、次の相談がスムーズになり、不安が“整理された課題”に変わります。
焦らないための基準を決める(「今は動かない」も選択肢)
会社売却は、急いだ方がいい場面もありますが、いつも急ぐ必要があるわけではありません。
だからこそ、相談後におすすめしたいのが、「焦らないための基準」を自分で決めておくことです。
たとえば、次のように決めておくとブレにくくなります。
- 今日は契約を決めない(どんなに良さそうでも一晩置く)
- 家族(または役員)に一度話してから進める
- 費用と情報管理の説明が納得できるまで次に進まない
- 違和感が残るなら、別の相談先にも一度話を聞く
そして大事なのは、「今は動かない」も立派な選択肢だということです。
相談した結果、
- まだ整理が足りない
- 社内の状況的に今は難しい
- もう少し時間をかけたい
と思ったなら、無理に進めなくて大丈夫です。“動かない判断”は逃げではなく、リスクを減らす判断でもあります。
相談後は、「次は何をするか」をたくさん決める必要はありません。今日決めることを絞って、不安をメモにして、焦らない基準を作る。この3つができれば、次の一手が見える状態になります。