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23区と多摩では休廃業の傾向が違う?東京を二つに分けて比較

東京都の休廃業・解散は、23区と多摩地区で同じ動きをしているわけではありません。

帝国データバンクの2025年調査を地域別に集計すると、23区は13,987件で前年から6.1%増え、多摩地区は1,810件で5.9%減りました。東京都全体では4.5%増えて過去最多でしたが、その内側では方向が分かれています。

ただし、多摩地区の減少は、2024年に16.3%増えた反動を含みます。2025年も過去10年で2番目に多い水準です。「多摩は問題が小さくなった」とまでは判断できません。

2025年は23区で増え、多摩地区で減った

2024年と2025年の休廃業解散件数を東京23区と多摩地区で比較した図

帝国データバンクが公表した市区郡別データから、23区の件数を合計しました。多摩地区は、同社東京西支店が公表した26市と西多摩郡の合計です。

地域 2024年 2025年 前年比 東京都全体に占める割合
東京23区 13,186件 13,987件 +6.1% 88.5%
多摩地区 1,924件 1,810件 -5.9% 11.5%
島しょ部 16件 9件 -43.8% 0.1%未満
東京都全体 15,126件 15,806件 +4.5% 100%

計算方法
23区は市区郡別表の23区分を合計。島しょ部は「東京都全体-23区-多摩地区」で算出しました。割合は小数第2位を四捨五入しています。いずれもKAKEHASHIによる記事内の計算で、帝国データバンクが「23区合計」として公表した公式値ではありません。

「休廃業・解散」に倒産は含まれない

帝国データバンクは、倒産による法的整理を除き、企業活動の停止を確認した「休廃業」と、商業登記等で確認した「解散」を集計しています。みなし解散は含みません。

調査時点で活動停止が確認された企業であり、その後の事業再開を否定する数字でもありません。個人事業主も対象に含まれます。

休廃業・解散率は、2025年の件数を2024年12月時点の企業数で割ったものです。会社の倒産しやすさや、ある企業が廃業する確率をそのまま示す指標ではありません。

多摩地区は減少したが、高い水準が続く

多摩地区では、2023年に1,654件、2024年に1,924件、2025年に1,810件となりました。

件数 前年比 休廃業・解散率 黒字企業割合
2023年 1,654件 +22.8% 5.91% 58.5%
2024年 1,924件 +16.3% 6.82% 53.9%
2025年 1,810件 -5.9% 6.32% 49.3%

2025年に減ったことだけを見ると、退出が落ち着いたように見えます。ただ、2024年の急増後も件数は1,800件を超え、過去10年で2番目の多さでした。

多摩地区の2025年は、黒字企業の割合が49.3%と9年ぶりに50%を下回りました。その一方で、資産超過型は76.0%と過去最高です。赤字になったことをきっかけに、債務超過へ陥る前に事業を終えた企業が含まれる可能性があります。

調査から個別企業の廃業理由までは分かりません。黒字割合と資産超過割合を組み合わせても、「余裕があった」「追い込まれていた」と一律には判断できない点に注意が必要です。

23区では18区が前年を上回った

2025年に23区のうち前年より件数が増えたのは18区、減ったのは5区でした。

増加率が大きかったのは、中野区の31.5%増、荒川区と世田谷区の16.7%増、渋谷区の16.3%増、大田区の12.9%増です。件数では、港区2,163件、千代田区1,680件、中央区1,371件、渋谷区1,116件が多くなっています。

件数は企業集積の影響を強く受けます。港区と千代田区は会社数自体が多いため、件数だけで地域の事業環境が悪いとは言えません。企業数を分母にした休廃業・解散率も併せて見ます。

率で見ると、市区ごとの差が大きい

2025年の休廃業解散率が高い東京都の区市を比較した横棒グラフ

2025年の休廃業・解散率は、23区では港区11.14%が最も高く、千代田区9.90%、世田谷区9.66%、中野区9.16%、中央区9.08%が続きました。

多摩地区では小金井市9.16%、西東京市9.12%が高い結果でした。件数最多の八王子市は295件ですが、率は6.81%です。

地域 件数 休廃業・解散率 見方
港区 2,163件 11.14% 件数・率とも高い
千代田区 1,680件 9.90% 企業集積を踏まえても率が高い
世田谷区 734件 9.66% 前年比16.7%増
小金井市 57件 9.16% 件数は少ないが率が高い
西東京市 88件 9.12% 前年比7.3%増
八王子市 295件 6.81% 多摩で件数最多

率が高い市区を並べても、原因が共通するとは限りません。都心の企業集積地域、住宅地、工業地域では、業種構成、会社規模、地価、賃料、人材採用、経営者年齢が異なります。

23区と多摩地区で方向が分かれた背景

多摩地区は2024年急増の反動が大きい

多摩地区は2024年に1,924件へ増え、前年比16.3%増でした。2025年の5.9%減は、この高い比較対象からの減少です。2023年と比べれば9.4%多く、長期的に低い水準へ戻ったわけではありません。

23区は大半の区で件数が増えた

23区の合計増加は、特定の一つの区だけによるものではありません。18区で前年を上回り、都心区だけでなく世田谷区、中野区、荒川区、大田区などでも増えました。

同じ東京都でも業種構成が違う

東京都全体では2025年、サービス業が1,574件で最も多く、建設業692件、卸売業762件も前年から増えました。

多摩地区ではサービス業192件が最多ですが、卸売業は前年から25.0%増、製造業は17.0%増でした。木造住宅建築は19件から30件へ増えています。

23区は事業サービス、金融関連、コンサルティング、IT、不動産などの企業が多く、多摩地区は製造、建設、住宅関連、地域サービスの比重が相対的に高い地域です。地域差を見るときは、件数や率だけでなく、自社と近い業種の動きを確認する必要があります。

地域データから分かることと、分からないこと

数字から確認できること この数字だけでは分からないこと
2025年は23区で増え、多摩地区で減った 個々の会社が事業を終えた理由
多摩の減少後も件数は過去2番目に多い 売却できた可能性があった会社の数
市区別の件数と企業数に対する率 各社の資産、顧客、人材、許認可の価値
多摩地区の黒字・資産超過割合 23区と多摩の経営余力を単純比較した結論

自社の出口を考えるとき、所在地だけで売却、承継、廃業を決めることはできません。同じ地域でも、顧客基盤、従業員、技術、契約、資産、社長への依存度によって引継ぎ可能性は変わります。

東京都全体の10年推移は、東京の休廃業・解散は増えているかを10年で確認した記事で整理しています。全国と東京の件数・発生率の違いは、東京と全国の休廃業を比較した記事で確認できます。

東京の地域別データに関するよくある質問

23区の13,987件は帝国データバンクの公表値ですか

市区郡別表に掲載された23区の件数をKAKEHASHIが合計した記事内計算です。元資料は各区の数値を公表しており、合計の計算過程を本文に示しています。

東京都15,806件から多摩1,810件を引けば、23区ですか

なりません。東京都全体には島しょ部9件が含まれます。2025年は「15,806-1,810-9=13,987件」が23区です。

多摩地区で件数が減ったため、事業承継問題も改善したと考えてよいですか

休廃業・解散件数だけでは判断できません。2024年の急増の反動があり、2025年も過去2番目の多さでした。後継者不在率など、別の調査も併せて見る必要があります。

主な出典

※本記事は、公表資料をもとに東京都内の休廃業・解散動向を整理した一般的な情報です。記事内の23区合計、島しょ部件数、構成比、増減率は、公表値を用いたKAKEHASHIの計算であり、公式な集計値ではありません。統計は特定企業の継続・承継・売却可能性を示すものではなく、特定の取引や対応を推奨・保証するものでもありません。個別の判断は、弁護士、税理士、公認会計士、M&Aの専門家、公的相談窓口等へご確認ください。

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