中小企業のM&Aが増加する中、資金調達に使える制度やサポートが注目されています。
特に、個人がM&Aを通じて株式を取得し、事業を継続する動きが増えています。
そこでこの記事では、M&Aで日本政策金融公庫から融資を受けられるのか?そして、制度や利用実態・事例についてご紹介させて頂きます。
融資を受けてM&Aをするメリット
M&Aを進める際、購入者は売り手に対価を支払う必要があります。
特に中小企業や一般の個人の場合、必要な資金を用意するのは難しいことが多いです。
しかし、金融機関からの融資や第三者割当増資などの方法を利用すれば、少ない自己資金でもM&Aを進めることができます。
さらに、事業承継やM&Aの補助金制度も拡大しており、資金力が不足している場合でもM&Aのチャンスが増えています。
M&Aの融資制度へ興味・関心が増えている理由
このような取り組みの背景には、日本が「大廃業時代」という問題に直面していることが挙げられます。
これは、2025年までに多くの企業が廃業し、大きな経済的損失が予測されるという問題です。この問題を解決するための一つの方法として、中小企業間のM&Aが注目されています。
M&Aには、経営者の若返りやシナジー効果の創出、資本力の強化などのメリットがあります。
また、M&Aを進めるための基盤が整備されてきており、資金調達を行ってM&Aに取り組むメリットとして、新たな経営者が廃業を選択するような優良企業を取得することで、安定した経営が期待できる点が挙げられます。
これにより、起業するよりもリスクが低く事業を展開できるとされています。
M&Aに使える日本政策金融公庫の融資制度の概要
日本公庫が提供する融資制度を活用することで、購入資金を調達することが可能です。
特に「事業承継・集約・活性化支援資金」という融資制度は、事業承継やM&Aに関連するさまざまな資金ニーズに対応しています。
この制度を利用することで、事業承継やM&Aをスムーズに進めることができます。
事業承継・集約・活性化支援資金の目的
この制度は、事業承継やM&Aに取り組む中小企業者をサポートするためのものです。
具体的には、事業承継計画の策定や実施、新たな事業展開などを行う際の資金調達をサポートします。
対象となる方
- 中期的な事業承継を計画し、現経営者と後継者と共に事業承継計画を策定している方。
- 事業の承継・集約を目的として、安定的な経営権の確保を行う方。
- 経営承継円滑化法に基づき認定を受けた中小企業者や個人。
- 事業承継に際し、経営者個人保証の免除を取引金融機関に申し入れた結果、資金調達が困難になった方。
- 事業の承継・集約を契機に、新たな事業展開を図る方。
資金の利用方法
- 事業承継計画の実施に必要な設備資金や運転資金。
- 事業承継・集約に伴う設備資金や運転資金。
- 経営承継円滑化法施行規則に基づく資金。
- 取引金融機関との取引状況の変化に伴う運転資金。
- 新たな事業展開に必要な設備資金や運転資金。
融資の詳細
- 融資限度額:最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)。
- 返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は7年以内。
- 利率:利用条件に応じて、基準利率や特別利率が適用されます。
その他の情報
担保や保証人については、お客様の希望や状況に応じて相談が可能です。
また、この融資制度と併用できる他の融資制度も存在します。
詳しい内容や申し込みについては、日本政策金融公庫の公式ページや最寄りの支店にお問合せ下さい。
「事業承継・集約・活性化支援資金」の公式ページは【こちら】
日本政策金融公庫のスモールM&A向け融資の利用実態や事例
日本政策金融公庫のHPでは、スモールM&Aに関する利用実態や事例についてまとめられています。
そちらの記事の内容を基に、利用実態や事例について解説させて頂きます。
どんな目的で融資が使われているの?
- 株式の買取り:建設会社A社が同業のB社を買収するために7,000万円の融資を受け取り、B社を子会社化。
- 営業権や事業用資産の買取り:Cが雑貨店Dの事業を引き継ぐために600万円の融資を受け取り、店を継承。
- M&Aに伴うリニューアル:洋菓子製造のE社が飲食業のF社からレストランを譲り受け、1,200万円の融資で店舗のリニューアルを実施。
- M&Aによる新たな取組み:システム開発のG社がソフトウェア開発のH社を買収し、4,500万円の融資で新しいWebサービスの開発を開始。
日本政策金融公庫のスモールM&A向け融資の状況
日本政策金融公庫では、さまざまな切り口で分析したスモールM&A向け融資の状況を公開しています。
その内容を要約すると、以下のような形です。
- 融資金額別:500万円以下が約6割、1,000万円以下が約8割。
- 業種別:卸売・小売業が最も多く、約2割。
- 従業者規模別:従業者数5人以下が7割、20人以下が約9割。
- 組織形態別:法人企業と個人企業の割合はほぼ1:1。
- 担保の有無別:融資の約9割は無担保融資。
まとめ
以上、日本政策金融公庫のM&Aで使える融資制度についての解説でした。
M&Aは今後も中小企業の経営において、重要な選択肢の一つです。
その際に必要な資金を用意する一つの手段として、日本政策金融公庫の融資制度もご検討ください。