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東京の建設会社はどこに多い?23区の事業所分布と事業承継

東京の建設業|23区の分布と事業承継

長年の現場経験、職人さんとのつながり、元請や施主からの信頼。建設会社の引継ぎでは、決算書だけには表れにくいものが大切になります。「同じ地域に引き継いでくれる会社はあるだろうか」「従業員の仕事を続けられるだろうか」と考え始めたとき、地域の産業構成は、候補を探す範囲を整理する手掛かりになります。

令和6年経済センサス‐基礎調査では、東京23区それぞれの数値を合計した建設業の事業所数は26,355事業所です。最も多いのは足立区の2,385、次いで江戸川区2,092、練馬区2,053でした。ただし、これは会社数でも、会社を買いたい企業の数でもありません。事業所の多い地域ほど売却しやすい、とまでは読み取れない数字です。

この記事では23区の件数と割合を独自に比較し、建設会社のオーナーが事業承継を考える際の使い方を整理します。数字で分かることと、ご自身の会社について確かめることを分けて見ていきましょう。

目次

東京の建設業を数えるときに知っておきたいこと

会社数ではなく、仕事を営む拠点の数

本記事の地域比較は、総務省統計局の令和6年経済センサス‐基礎調査・甲調査の確報を使用しています。調査時点は2024年6月1日、確報の公表日は2025年12月24日です。記事を読んでいる日の営業状況をそのまま示すものではありません。

事業所とは、場所ごとに事業活動を行う単位です。一つの会社が本社と複数の営業所を持っていれば、会社単位の数とは一致しません。一方、同じ住所に複数の事業者が入っていることもあります。会社の売却先を探すときは、事業所の所在地に加え、運営会社や本社の判断窓口を確かめる必要があります。

また、この集計は雇用者のいない個人経営の事業所を除きます。一人で営む職人さんなど、地域で実際に工事を支えていても、今回の数値に含まれない事業者がいます。表の件数を、地域の職人・協力会社の全体数と受け取らないことが大切です。

建設業許可業者数や施工現場数とは別の数字

ここでいう建設業は、統計上の産業分類による区分です。建設業許可の有無で数えた業者名簿でも、区内で進んでいる工事現場を数えた一覧でもありません。東京都内の営業所が都外の工事を請け負うことも、都外の会社が都内で施工することもあるため、所在地の件数と施工需要は分けて考えます。

産業構成の全体像は東京23区の事業所数を比較した記事で紹介しています。今回は建設業に絞り、「どこに拠点が多いか」「地域の中で建設業がどのくらいの割合か」「自社の引継ぎにどうつなげるか」を扱います。

建設業の事業所数は足立区・江戸川区・練馬区が上位

23区を件数順に並べると、上位5区は足立区、江戸川区、練馬区、大田区、世田谷区です。5区の合計は10,026事業所で、23区合計26,355の38.0%になります。これは拠点が一定の地域に集まっていることを示しますが、個々の会社の受注力や経営状態を示すものではありません。

建設業の事業所数は足立区2385、江戸川区2092、練馬区2053、大田区1943、世田谷区1553
出典:総務省「令和6年経済センサス‐基礎調査」第4-1A表からKAKEHASHI作成。2024年6月1日現在。雇用者のいない個人経営の事業所を除く。

以下の表は23区すべてを掲載しています。「割合」は、それぞれの区の全産業の事業所数に占める建設業の比率です。件数と割合を隣に置くことで、単に事業活動の規模が大きい区なのか、建設業の存在感が相対的に大きい区なのかを見分けやすくなります。

順位 区 建設業の事業所数 区内の全産業に占める割合
1 足立区 2,385 13.36%
2 江戸川区 2,092 12.96%
3 練馬区 2,053 12.55%
4 大田区 1,943 8.22%
5 世田谷区 1,553 6.40%
6 板橋区 1,493 10.86%
7 江東区 1,225 6.94%
8 葛飾区 1,202 10.28%
9 新宿区 1,107 3.55%
10 中央区 1,051 3.03%
11 港区 1,034 2.40%
12 品川区 998 5.68%
13 杉並区 984 6.56%
14 千代田区 950 2.59%
15 台東区 903 4.66%
16 墨田区 858 7.20%
17 豊島区 823 4.84%
18 渋谷区 803 2.43%
19 北区 744 8.62%
20 中野区 712 7.55%
21 荒川区 547 8.45%
22 目黒区 457 4.03%
23 文京区 438 3.73%

出典:総務省「令和6年経済センサス‐基礎調査」第4-1A表(2024年6月1日現在)。雇用者のいない個人経営の事業所を除く。割合=建設業事業所数÷同一区の全産業事業所数×100。KAKEHASHI計算、割合は小数第2位まで表示。

足立区の2,385事業所は、練馬区の2,053より332多く、大田区の1,943より442多い数値です。ただし、差があるからといって、足立区の同業者が他区よりも後継者探しに有利とは言えません。同じ建設業でも、工種、元請・下請の位置付け、受注先、営業範囲が異なるからです。

例えば同じ区の会社でも、住宅の小規模改修を中心とする会社と、大規模施設の設備工事を中心とする会社では、必要な人員、資格、取引先の審査、資金繰りの周期が違います。所在地が近いことは面談や現場の引継ぎに役立ちますが、それだけで承継の相性が決まるわけではありません。

「件数の多さ」と「建設業の割合」は違う

割合で見ると、足立区13.36%、江戸川区12.96%、練馬区12.55%、板橋区10.86%、葛飾区10.28%が上位です。件数では上位5区に入る大田区や世田谷区に代わり、板橋区と葛飾区が入ります。地域の比較では、何を基準に順番を付けているかによって見える姿が変わります。

各区の全産業に占める建設業の割合は足立区13.36%、江戸川区12.96%、練馬区12.55%、板橋区10.86%、葛飾区10.28%
出典:同第4-1A表からKAKEHASHI作成。建設業事業所数を同一区の全産業事業所数で割って計算。人口・面積当たりの密度ではない。

一方、千代田区は950事業所で2.59%、港区は1,034事業所で2.40%です。割合が小さいから建設業の拠点がほとんどない、とは言えません。他の産業の事業所も多いため、分母が大きくなることが割合に影響します。

自社の周辺で候補を探すなら、件数は候補を調べ始める範囲の目安、割合は地域の産業構成を把握する目安として使うと整理しやすくなります。人口当たり、面積当たりの密度とは別の指標です。営業所の数を示すこの表から、空き店舗の状況、移転費用、工事単価などを判断することもできません。

全国・東京都全体との違い

地域 建設業 全産業 建設業の割合
全国 400,342 4,023,941 9.95%
東京都 36,733 550,608 6.67%
23区合計 26,355 448,564 5.88%

出典:同第4-1A表から計算。23区は各区の行を合算した値で、境界未定地域を含まない。統計表の「特別区部」は建設業26,360、全産業449,153で、本記事の23区合計とは集計範囲が異なる。

全国の全産業に占める建設業は9.95%、東京都は6.67%、23区合計は5.88%です。23区合計と全国の差は約4.07ポイントあります。東京には建設業以外の多様な産業も集まっているため、建設業の割合だけで地域の工事需要の強さを比較することはできません。

また、今回の表は同じ調査時点の地域差を比較しています。過去の経済センサスとは調査対象や集計方法の確認が必要なため、ここでは単純な増減率を作っていません。「全国差」はこの時点の構成の違いであって、東京の建設業が減っているという意味ではありません。

総合工事・職別工事・設備工事で探す相手が変わる

23区合計の内訳は、総合工事業8,108、職別工事業9,652、設備工事業8,587です。建設業26,355に対し、3区分の合計は26,347となり、差の8事業所は内訳区分以外の数として残ります。差をどこかの工種に足してしまわず、統計表の分類のまま扱います。

足立区では職別工事業が1,009、江戸川区では890です。大田区では設備工事業が745で、同区の総合工事業557、職別工事業640を上回ります。こうした内訳を見ると、同じ「建設業が多い地域」であっても、候補の探し方を一律にしないほうがよいことが分かります。

ただし、統計上の区分と建設業許可の業種はそのまま一対一で対応するわけではありません。まず自社が実際に担う工事、顧客、技術者の体制を言葉にし、その条件に合う会社を探す順番が実務的です。「建設業同士だから引き継げる」とまとめず、工事ごとの仕事の進め方まで確認します。

候補の方向 期待できる接点 面談で確かめたいこと
同じ工種の会社 技術や現場管理の共通点 担当地域、既存顧客との競合、職人の役割分担
異なる工種を持つ建設会社 対応できる工事の組合せ 自社の専門性を残せるか、管理方法をどう合わせるか
隣接地域で事業を営む会社 営業・施工範囲の補完 通勤や移動、資材置場、緊急対応の距離
役員・従業員による承継 社内の経験や取引関係の継続 本人の希望、株式取得資金、経営と許可の体制

KAKEHASHIによる検討項目の整理。各方向で実現可能な効果を保証するものではありません。

買い手の種類による一般的な違いは、事業会社・ファンド・個人の買い手候補を比較した記事で説明しています。建設業ではその分類に加え、工事を継続する実際の体制を重ねて考えることが役立ちます。

後継者不在率は地域の事業所数と切り分けて読む

帝国データバンクが2025年12月23日に公表した東京都の後継者不在率調査では、建設業は2024年57.1%から2025年53.6%へ、3.5ポイント低下しました。2025年の都内全業種47.9%より5.7ポイント高い一方、同社の全国調査における建設業57.3%より3.7ポイント低い数値です。

これは同社が分析できる企業を対象にした調査です。経済センサスの事業所集計とは、対象、単位、時点が違います。そのため、足立区の2,385事業所に53.6%を掛けて「後継者のいない会社が何社ある」と推計することはしません。区別の後継者不在率も、この組合せからは分かりません。

後継者が未定であることは、その会社が売却を希望していることと同じではありません。現社長が経営を続ける予定の会社もあれば、親族や社員との話合いの途中の会社もあります。数値を見て相手に売却意向があると決め付けず、相談先を通じて意向を確かめることが関係を守るうえでも大切です。

業種別の不在率全体は東京の業種別後継者不在率の記事も参照してください。本記事で重視したいのは、不在率の高さを不安材料として受け取るだけでなく、社内承継や第三者承継の準備を自社のペースで始めるきっかけにすることです。

建設会社の引継ぎで先に話しておきたい五つのこと

1.社長が担当している仕事を分けてみる

社長の仕事には、見積り、営業、資金繰り、採用、現場の調整、顧客との最終交渉などが重なっています。まず一週間を振り返り、「誰かに任せられていること」「自分だけが判断していること」を書き出してみます。完璧な業務マニュアルを作るためではなく、引継ぎに時間をかけたい仕事を見つけるためです。

例えば、現場管理は社員が担えていても、追加工事の金額交渉だけ社長が一人で行っている場合があります。そのときは、顧客ごとの判断の背景や過去の取決めを次の担当者に共有することが役立ちます。技術と営業の両方を一人の後継者に求めず、複数人で役割を分ける選択肢も考えられます。

2.従業員と協力会社との関係を確認する

承継後も働き続けてほしい方がいるなら、職種や役割、通勤範囲、待遇で大切にしている点を整理します。まだ承継方針を話していない段階で、全員への説明を急ぐ必要はありません。情報を伝える時期や順番は、相手候補が固まる度合いと、重要な人材の意向確認が必要な時期を見ながら相談先と組み立てます。

協力会社についても、取引期間や外注額だけでなく、どの工種を任せているか、繁忙期にどの程度協力を得ているかを把握します。個人的な関係が受注を支えている場合には、社長が一定期間一緒に訪問するなど、信頼を移すための段取りを考えます。引継ぎ契約だけで従来どおりの協力を保証できるわけではありません。

3.許可と技術者の体制を一緒に確認する

建設業許可が関係する場合は、株式譲渡なのか、事業譲渡・合併・会社分割なのかで検討が変わります。株式譲渡では通常、営業主体の法人自体は変わりませんが、代表者や役員、許可要件を担う人の交代に伴う届出や体制の確認は別に必要です。

事業譲渡等では、所定の事前認可によって建設業者としての地位を承継する制度があります。対象や申請先には条件があるため、「契約した後に許可も移せばよい」と考えず、実行日の前に許可行政庁や行政書士へ確認します。東京都の建設業許可の手引・申請書類と、国土交通省関東地方整備局の建設業許可の案内が確認先になります。

確認を依頼するときは、許可通知書、許可業種、一般・特定の区分、営業所、常勤役員等や営業所技術者等の現状を伝えると話を進めやすくなります。社長自身が要件を担っている場合には、退任時期と新たな体制がつながるかが論点です。資格が同じというだけで適合すると判断せず、具体的な役割と配置を確認してください。

4.工事契約と完成後の責任を整理する

受注残は承継先にとって重要な情報ですが、契約額の合計だけで価値を判断することはできません。進行中の工事ごとに、完成予定、入金予定、外注費・材料費の支払予定、追加変更工事の合意状況を並べると、必要な運転資金と引継ぎ時の論点が見えてきます。

過去に完成した工事についても、補修や保証、顧客からの問合せが残ることがあります。誰が窓口となり、記録をどこに置き、費用をどう負担するかを相談します。事業譲渡では契約の引継ぎや相手方の承諾が論点になり、株式譲渡でも支配権の変更を契約上どう扱うかの確認が必要になる場合があります。取引手法の違いは事業譲渡と株式譲渡の比較で詳しく説明しています。

5.社長個人の保証・資産・生活の希望を分ける

会社で使っている資材置場が社長個人の所有だったり、借入れに個人保証が付いていたりする場合は、会社の経営権だけの話では終わりません。土地建物を売る、貸し続ける、別の場所へ移るといった選択肢を並べ、会社の継続と社長の生活設計の両方から考えます。

個人保証は、株式を売却しただけで自動的に外れるとは限りません。金融機関との確認を契約や実行の段取りに含めます。また、売却代金だけでなく、仲介・専門家費用、税負担、退任後に残る支出も確認します。まず引退後に確保したい生活や、会社との関わり方を話すことから始めても構いません。

自社に置き換えて考える二つの例

足立区の職別工事会社が近隣の候補を探す場合

以下は考え方を示すための架空の例です。実際の成約事例や価格相場ではありません。足立区に拠点を置く職別工事会社で、社長が数年後に現場から離れたいと考え、従業員の雇用継続を重視しているとします。

同区に建設業の拠点が多いことは、調査を始める範囲を決める参考になります。ただし、区内に限ると同じ元請に依存する候補ばかりになる可能性もあります。葛飾区や江戸川区、さらに施工範囲が重なる都外の会社も含めて、工種、移動時間、人員配置で候補を比較する方法が考えられます。

最初の面談では、提示価格の前に「職人の勤務場所を変える予定はあるか」「協力会社との取引をどう考えるか」「社長には何をどの程度の期間手伝ってほしいか」を確認します。候補に伝える情報は段階を分け、具体的な取引先名や社員の個人情報を必要以上に広げないようにします。

大田区の設備工事会社で社員承継も検討する場合

同じく架空の例として、大田区の設備工事会社で、現場を任せられる幹部がいるものの、本人が経営や株式取得の負担を心配している場面を考えます。後継者候補の名前があることと、承継条件が整っていることは別です。

本人の希望を確認したうえで、経営の役割を段階的に渡す方法、株式取得の資金計画、外部の会社と組む方法などを比較します。地域の事業所数は外部候補を調べる際の参考になり、社内承継の判断には本人の意向や資金・許可の体制がより直接に関わります。

社長が営業を続ける期間を設ける場合も、期間だけでなく仕事の範囲を決めます。既存顧客への同行訪問と新規受注の決裁を分けるなど、次の経営者が判断できる場面を増やす設計が役立ちます。これまでの社長の経験を残しながら、新しい体制を育てる考え方です。

相談を始めるときの資料と進め方

初回相談のために、すべての資料をそろえる必要はありません。会社の主な工事、社長が考える時期、守りたい従業員や取引関係、気になっている点を話せれば、次に調べることを一緒に整理できます。決算書や許可通知書など、手元にある資料を持って相談する形でも十分に出発できます。

相談が進んだ段階で役立つ資料 整理できること
直近の決算書・試算表 利益の傾向、借入れ、必要な運転資金
工事台帳・受注残の一覧 進行中の工事、採算、完成・入出金時期
許可通知書・届出の控え 許可区分と人員体制、変更が必要になる事項
従業員の職種・資格・担当の一覧 現場運営、引継ぎの分担、育成の予定
主な契約・借入れ・保証の資料 承諾や金融機関との協議、残る責任
社長個人と会社の資産・賃貸関係 土地建物や資材置場の利用を続ける条件

初回相談の必須持参物ではありません。相談先と必要な範囲を決め、機密情報は開示先と目的を確認して共有してください。

資料の一般的な準備方法は会社売却の必要資料の記事をご覧ください。建設業では、決算書に加えて工事ごとの記録を確認すると、期をまたぐ案件や追加工事の状況を説明しやすくなります。

期間と費用は、会社ごとの工程から考える

事業承継にかかる期間は、相手探し、社員や家族との話合い、契約確認、許可に関する手続、金融機関との調整などで変わります。希望する引退日だけを先に固定するより、その日までに何を終える必要があるかを逆算し、難しい工程には余裕を持たせるほうが見通しを立てやすくなります。

費用については、相談料の有無と、契約後の仲介報酬や専門家費用を分けて確認します。仲介報酬は計算の基準、最低報酬、発生時点、途中で進まなくなった場合の扱いまで確認すると、想定外の負担を減らせます。税務・法務の検討や許可申請が別料金になるかも合わせて確認してください。

株式譲渡と事業譲渡では、代金を受け取る主体や課税関係が異なります。表示された金額をそのまま社長個人の手取り額と考えず、税理士に取引の形と資産の扱いを伝え、概算を確認します。本記事では個別条件を伴わない税率や売却価格の目安は示していません。

経営者と相談先で確認できるチェックリスト

  • 自社の主な工種、元請・下請の関係、施工範囲を説明できるか。
  • 社長がこれからも続けたい仕事と、任せたい仕事は何か。
  • 従業員の雇用、社名、取引先、場所のうち、特に大切にしたい条件は何か。
  • 親族・役員・社員の承継意向を、本人の希望として確かめられているか。
  • 第三者承継も比べる場合、同一区だけでなく施工範囲で候補を考えられるか。
  • 許可要件を担う人の交代と、社長の退任予定はつながるか。
  • 進行中の工事や完成後の補修について、引継ぎ事項を整理できるか。
  • 個人保証、個人所有の土地建物、貸付金などを相談先に伝えられるか。
  • 情報を伝える相手と時期、秘密保持の方法を決められるか。
  • 契約や費用の説明で分からない点を、その場で質問できるか。

すべてに答えが出てから相談するためのチェックではありません。「まだ決めていない」と言える項目を見つけるためのものです。経営者ご自身だけで結論を出さず、家族、社内の候補者、顧問税理士、金融機関、事業承継の相談先と必要な範囲で話し合えます。

公的な窓口を含む相談の入り口については、東京都の事業承継・引継ぎ相談の記事も参考になります。相談したことが、そのまま売却を決めたことになるわけではありません。経営を続ける案も含め、自社に合う選択肢を比べる場として使えます。

よくある質問

建設業の事業所が多い区なら、会社を売りやすいですか?

この統計だけでは判断できません。件数は候補を調べる入口にはなりますが、相手の買収意向、工種、資金、人材、営業範囲との相性が必要です。提示条件だけでなく、従業員や顧客との関係をどう引き継ぐかまで比べて考えます。

小さな会社や、一人親方も表に含まれますか?

集計対象に入る小規模な事業所はありますが、雇用者のいない個人経営の事業所は除かれています。「地域の建設関係者がすべて載っている」とは考えないでください。また、表の単位は会社ではなく事業所です。

自社と同じ区の会社に引き継ぐ必要はありますか?

その必要はありません。隣接区や都外も含め、移動時間、現場の場所、工種、既存顧客への対応で考えられます。従業員の通勤や資材置場の利用など、会社の仕事を続ける条件を先に整理すると、地域の範囲も決めやすくなります。

株式を売れば、建設業許可は何も手続しなくてよいですか?

法人が続くことと、変更に伴う届出や要件確認が不要であることは別です。役員や許可要件を担う人が変わる場合などは、具体的な体制を許可行政庁や行政書士に確認してください。事業譲渡等で法人や事業主体が変わる場合は、別途承継の手続を検討します。

後継者が決まっていなければ、すぐに売却を決める必要がありますか?

すぐに決める必要はありません。社内候補の育成、親族への承継、第三者承継、経営を続ける計画などを比べられます。ただし許可、人材、契約の引継ぎには準備が必要な場合があるため、気になる点だけでも相談しておくと、選べる条件を整理しやすくなります。

地域の数字を、自社の次の一歩につなげる

23区の建設業は、件数では足立区・江戸川区・練馬区が上位で、割合では板橋区や葛飾区の存在感も見えてきます。この違いは、地域を一つの順位だけで評価しないための材料です。大切なのは、自社が築いてきた仕事と関係を、どのような相手や体制なら引き継げるかです。

まずは社長が大切にしたいことを一つか二つ、言葉にしてみてください。「今の職人に働き続けてほしい」「長年の施主への対応を続けたい」「現場を少しずつ任せたい」。その希望に、工種、人員、許可、資金の条件を重ねることで、地域の統計を現実的な検討に役立てられます。

※本記事は2026年10月21日時点で確認できた公表資料に基づく一般的な情報です。統計の対象・時点・単位に留意してください。売却価格、成約、許可承継等を保証するものではありません。個別の税務・法務・許認可・雇用関係は、税理士、弁護士、行政書士、許可行政庁等に確認してください。

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